出張レポート
ミラノ・スイス・ポルトガル
2023年9月20日~21日
FILO展示会レポート
毎年2月と9月にミラノで開催される糸の展示会FILOはフィレンツェで行われる
ピッティフィラティ展示会とは違いカットソー、布帛に適した糸の展示会であり
後者の展示会で出展されるニット用の太い意匠糸とは用途が違う展示会になっています。
今回も前回と同じMico Convention Centreで開催されました。
出展企業は116社で前回よりも少し増えブースも人も多く感じました。
イタリアを中心にユーロエリアからフランス、スイス、ポルトガル、スペイン、オーストリア、スロベニアそしてトルコやパキスタンなど多くの国から出展されていました。
全体的なエコの流れは引き続き継続しています。
その中でもリサイクルやオーガニック、GRSなどの認証を得た糸作りが進んでいるように感じました。
中途半端なものは少なく、キレイとカジュアルが二つに分かれて提案されているのも特徴的でした。キレイなものはシルクやマーセライズされたものなど。リネンは粗野なものとブリーチリネン、セミブリーチリネン、ヘンプも同じく粗野なものとブリーチヘンプ、セミブリーチヘンプなどのキレイな白を使った糸があり同じ素材でも相反する素材提案の展示が出ていました。
スイスSPOERRY 1866 LTD紡績
事務所訪問レポート
(2023/09/20~21)
今回スポエリー社はミラノの展示会に出展されていたのでFILO展示会最終日終了後スイスまで3時間半かけて車に乗せていただき移動しました。
翌日チューリッヒの南東のフルムス地区、ワレン湖の近くにある工場見学と事務所に訪問し打合せをしました。
以前お伺いしたときは水力発電を利用しながら稼働していたきれいな工場は閉鎖していて現在は近くの工場で3500錘の紡機で試験紡績と小ロットの紡績をこなし、現物の大きな仕事はタイや中国、インドなどでそのノウハウを活かし紡績しています。
原料にこだわり続け、商品価値が高いものを作ることを目標に紡績しているスポエリーですがもともとスイスにあったNEFという繊維貿易会社を通じて世界に発信していたのですがNEFもなくなり、そのDNAを引き継ぎ、原料の選別から紡績までをスポエリーで一貫して作ることでワタの本質を活かした物つくりが今まで以上に進化したと言えるかもしれないです。
ポルトガル紡績訪問レポート
SOMELOS紡績訪問
リング、サイロ、サイロコンパクト、コンパクト、ガス、強撚などの機械があり
細番手を中心に紡績している。
ギザ、ピマ、スペインピマ、ジンバブエ、ウガンダ、タンザニアなどのコットンを使用し
品質重視で紡績を進めている。
今回のポルトガル訪問はヨーロッパのアパレルがこのポルトガルで作られていることが多い為どのあたりまで紡績ができるのかを知りたくて来ました。
コットンカシミアやオーガニックコットンを使った品番も多く、風合いが良い糸が多かった。
FILASA紡績訪問
空紡がメインの工場ですがリング紡績やMVSも備えていていろんな展開が可能です。
オーガニック、リサイクルコットン、リサイクルポリエステル、リヨセル、モダール、リサイクルウール、リサイクルリネンなどの原料が中心。
オレンジの皮やコーヒーから抽出したビスコースなど染色工場の併設している工場だけにそのバリエーションは豊富です。
BDのスラブ糸も可能ということでカジュアルな物つくりができる工場だと感じました
最後に・・・・
今回の出張で感じたのは物価の違いです。
ミラノ、ポルトガルのユーロ圏内でも少し違いますがスイスはかなりの物価高にびっくりしました。スイスは糸値もかなり高いですが物価はそれ以上に高いと言えるでしょう。
今回FILO展示会でも出展されていたイタリア国内の糸も見極めれば使えそうです。
店頭でもイタリアなどはかなり高く感じてしまうのは日本の物価がかなり安いことで
錯覚を起こしているのかもしれません。
私たちは出口と入口をきちんと考え、その商品がどういうお客様にわたりそのお客様にとって価値があるのかも考えながら仕事をしていかなければならないと感じました。
基本的なことですが商品価値を上げるために何をすべきかをもう少し考えなければいけないと思いました。
国内だけでなく海外の感覚を取り入れていろんなところに売っていく柔軟性が今後試されるのかもしれないです。